名古屋地方裁判所 昭和41年(行ウ)16号 判決 1978年3月27日
愛知県一宮市神田町二丁目一五番地
原告
丸村株式会社
右代表者代表取締役
村橋富士雄
右訴訟代理人弁護士
武藤鹿三
同
佐治良三
同
太田耕治
同
大脇保彦
右訴訟復代理人弁護士
大脇雅子
愛知県一宮市明治通り二丁目四番地
被告
一宮税務署長
藤井友一
右訴訟代理人弁護士亡入谷規一訴訟復代理人弁護士
草野勝彦
右指定代理人
岡部貞美
同
樋口繁男
同
大西昇一郎
同
山田太郎
主文
原告の請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一当事者の求めた裁判
(原告)
被告が原告に対して昭和三四年度分ないし同三六年度分法人税についてなした別表(一)(課税処分表)の「(2)更正または決定の金額」欄記載の更正処分並びに過少申告加算税、重加算税の賦課決定処分は、それぞれに対応する別表(一)の「(1)申告または更正前の金額」欄記載の金額を超える限度において、いずれもこれを取消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
(被告)
主文同旨。
第二当事者の主張
(請求の原因)
一 被告は昭和三八年五月二八日原告に対し、昭和三四年度分ないし同三六年度分法人税について、別表(一)(課税処分表)の「(2)更正または決定の金額」欄記載のとおり更正処分並びに過少申告加算税、重加算税の賦課決定処分(以下、これらを本件課税処分という)をなし、これを原告に通知した。
二 しかし、本件課税処分は、別表(一)の「(1)申告または更正前の金額」欄記載の金額を超える部分についてはいずれもその根拠を欠き、取消を免れない。
(請求原因に対する認否)
請求原因一は認めるが、同二は争う。
(被告の主張)
一 課税の経緯
1 昭和三四年度分
(一) 原告は所得金額を六、六五八、二一八円、税額を二、四四〇、一六〇円とする法人税確定申告書を昭和三五年二月二九日被告に提出した。
(二) 被告は調査の結果、昭和三五年六月三〇日、所得金額七、五〇六、四〇四円、税額二、八〇八、八四〇円と更正し、過少申告加算税一八、四〇〇円を決定し、原告に通知した。
(三) 原告は昭和三七年三月一四日法人税法違反嫌疑で強制調査を受けるに至り、被告は昭和三八年五月二八日、右調査資料にもとづき、所得金額六二、七八七、三一二円、税額二六、〇四〇、四二〇円と再更正し、過少申告加算税一八五、四〇〇円、重加算税九、九四五、〇〇〇円を決定し、原告に通知した。
2 昭和三五年度分
(一) 原告は所得金額を五、九七一、一二六円、税額を二、一九八、一〇〇円とする法人税確定申告書を昭和三六年二月二八日被告に提出した。
(二) 被告は調査の結果、昭和三六年四月二七日、所得金額九、八五九、九四六円、税額三、八二三、一六〇円と更正し、重加算税八一二、五〇〇円を決定し、原告に通知した。
(三) 被告は昭和三八年五月二八日、右1(三)に述べた強制調査資料にもとづき、所得金額二二、六九九、九二六円、税額九、一八八、六二〇円と再更正し、重加算税三、四九五、〇〇〇円を決定し、原告に通知した。
3 昭和三六年度分
(一) 原告は欠損金額二、七九一、八五七円、還付請求税額四二〇、九三〇円とする法人税確定申告書を昭和三七年二月二六日被告に提出した。
(二) 被告は昭和三八年五月二八日、右1(三)に述べた強制調査資料にもとづき、所得金額三二、三〇八、二二三円、税額一二、六八九、一五〇円と更正し、重加算税六、三四四、五〇〇円を決定し、原告に通知した。
二 所得金額
原告の事業年度は毎年一月一日から一二月三一日までであるが、昭和三四年度分ないし同三六年度分の各年度別所得金額の内訳はそれぞれ別表(二)ないし(四)(所得金額表)記載のとおりである。
三 「別途利益」について
原告が争う「別途利益」については、被告は、資産負債増減法による貸借対照方式により原告の別途利益を把握した。右方式による別途利益の計算方法は、各決算期末の別途財産の状況を貸借対照表の勘定科目に分類し、これより、各決算期首の別途財産の状況を貸借対照表の勘定科目に分類したものをそれぞれ控除した。本件係争各年度の期首、期末の各科目の内容は次のとおりである。
〔昭和三四年度分〕
1 期首(昭和三四年一月一日現在)
イ 指定金銭信託 一一〇、六七六、二六九円
右は原告が公表決算以外に保有していた左記のものである。
東海銀行信託部 九七、三九八、九九九円
十六銀行信託部 一三、二七七、二七〇円
ロ 定期預金 五九、二三八、五八四円
右は原告が公表決算以外に保有していた左記のものである。
東海銀行一宮支店 一七、七六九、六〇三円
十六銀行一宮支店 三、六六〇、〇〇〇円
協和銀行一宮支店 三四、六四五、〇〇〇円
大和銀行一宮支店 三、一六三、九八一円
ハ 現金 二三、八六一、三〇〇円
原告が架空仕入を計上し、昭和三三年一二月下旬に支払を仮装して現金払出をした金額一二、三六一、三〇〇円と、訴外村橋邦太郎よりの預り現金一一、五〇〇、〇〇〇円(同訴外人所有の土地の売却代金の一部)を原告が公表決算以外に現金で保有していたものである。
ニ 受取手形 一、五〇〇、〇〇〇円
ホ 売掛金 一四八、九八四円
ヘ 保証金 二一〇、七一四円
原告は公表決算で訴外発昌洋行に対する保証金を四、六六一、三〇〇円としていたが、四、八七二、〇一四円が正当額であるのでその差額である。
ト 普通預金 二、三五九、九六九円
チ 買掛金 四、九〇九、八八九円
リ 仮受金過大 一、一八二、八三九円
原告が公表決算で仮受金としていた訴外第一物産株式会社一、〇六二、八三九円および訴外渡辺栄作一二〇、〇〇〇円は、売上代金に相当するものと判明した。
ヌ 社長勘定 二五、〇〇〇、〇〇〇円
右は原告が公表決算以外に社長村橋邦太郎より受入れていた金額であり、邦太郎が個人所有の箱根の山林を売却して入金した四〇、〇〇〇、〇〇〇円のうち、別途利益の期首現金とした一一、五〇〇、〇〇〇円と期首指定金銭信託とした一三、五〇〇、〇〇〇円の合計額である。なお、この勘定は係争各年度の期首期末に公表決算以外に受入れられているもので、その金額に変動のないものである。
ル 特別仮受金 一六九、二六八、七七〇円
右は原告の公表決算以外の本件課税以前の別途繰越金である。
2 期末(昭和三四年一二月三一日現在)
イ 土地 二、三四〇、〇〇〇円
右は原告が訴外森鉦次(但し、名義は訴外鈴木喜一郎)より買入れた一宮市押場町二ノ二四ノ二の宅地外二筆の土地について、公表決算で二、二六〇、〇〇〇円としていたが四、六〇〇、〇〇〇円が正当な取得価額である。
ロ 指定金銭信託 一八三、九八六、七六二円
右は原告が公表決算以外に保有していた左記のものである。
東海銀行信託部 一七〇、七〇三、五九四円
十六銀行信託部 一三、二八三、一六八円
ハ 定期預金 七七、九三四、六二〇円
右は原告が公表決算以外に保有していた左記のものである。
東海銀行一宮支店 一九、二五五、三二八円
十六銀行一宮支店 四、三七八、七九二円
協和銀行一宮支店 五〇、五一八、四八四円
大和銀行一宮支店 三、五八二、〇一六円
協和銀行今池支店 二〇〇、〇〇〇円
ニ 現金 〇円
ホ 受取手形 〇円
ヘ 売掛金過大 六七〇、二五八円
ト 保証金 二五七、七三七円
原告は訴外発昌洋行に対し保証金三、三二九、九五六円を保有していたが、原告の公表決算には保証金および仮払金科目で三、〇七二、二一九円としていたその差額である。
チ 前渡金 一、八一八、九一八円
右は原告が公表決算以外に訴外永瑞洋行に対し保有していた前渡金である。
リ 普通預金 一、三〇一、七四九円
右は原告が公表決算以外に保有していた左記架空名義のものである。
大和・船場(坂田勝郎名義) 一、一三〇円
東海・三河島(沢田俊次郎名義) 一、三五七円
東海・船場(大洋商事株式会社名義) 一、〇八九円
大和・一宮(石井富雄名義) 一、四二〇円
同 (吉田源一郎名義) 一、三三〇円
協和・難波(笠伊義雄名義) 二五九、六五二円
東海・船場(松永太吉名義) 一〇八、八〇〇円
同 (吉本孝平名義) 一、四〇八円
協和・一宮(小島賢二郎名義) 九二五、五六三円
ヌ 買掛金 〇円
ル 仮受金 二五、七七〇、九五六円
原告の公表決算以外に訴外丸邦毛織株式会社からの仮受金二五、八七〇、九五六円があり、これから原告が公表決算で
仮受金としていた訴外渡辺栄作からの入金一〇〇、〇〇〇円を売上代金と認めて差引いた差額である。
〔昭和三五年度分〕
1 期首(昭和三五年一月一日現在)
前期末の各勘定科目、金額がそれぞれそのまま当期首に当るものであるが、昭和三四年度分の別途利益金額四六、九二九、八〇二円は当期における前期繰越金となる。なお、前期における借方科目の前渡金は当期において前払金と科目名を変えているが、性格内容は同様のものである。
2 期末(昭和三五年一二月三一日現在)
イ 土地 三、三四〇、〇〇〇円
右は原告が訴外林義正より買入れた一宮市九品町四ノ二五の土地について、公表決算で一、八七三、〇〇〇円としていたが二、八七三、〇〇〇円が正当な取得価額であるので、その差額一、〇〇〇、〇〇〇円を期首の公表決算以外の金額二、三四〇、〇〇〇円に加算したものである。
ロ 指定金銭信託 二〇〇、六六三、五九一円
右は原告が公表決算以外に保有していた左記のものである。
東海銀行信託部 二〇〇、一六三、五九一円
十六銀行信託部 五〇〇、〇〇〇円
ハ 定期預金 八三、五〇七、〇七八円
右は原告が公表決算以外に保有していた左記のものである。
東海銀行一宮支店 二三、〇八四、六六六円
十六銀行一宮支店 五、三〇三、九二八円
協和銀行一宮支店 五四、五一八、四八四円
協和銀行今池支店 二〇〇、〇〇〇円
住友銀行名古屋支店 五〇〇、〇〇〇円
ニ 普通預金 一三、〇一〇円
右は原告が公表決算以外に保有していた左記架空名義のものである。
大和・船場(坂田勝郎名義) 一、一五二円
東海・三河島(沢田俊次郎名義) 一、三七九円
東海・船場(大洋商事株式会社名義) 一、一一一円
大和・一宮(石井富雄名義) 一、四四二円
同 (吉田源一郎名義) 一、三五二円
協和・難波(笠伊義雄名義) 二、〇九四円
東海・船場(松長太吉名義) 八二三円
同 (吉本孝平名義) 一、四三〇円
東海・一宮(尾沢幸二名義) 一、〇九七円
三和・本町(黄鶴立名義) 一一一円
神戸・本店(梁徳祥名義) 一、〇一九円
ホ 通知預金 六〇〇、〇〇〇円
右は原告が公表決算以外に東海銀行一宮支店に保有していたものである。
ヘ 受取手形 一七、三六三、二七六円
ト 売掛金過大 一、三五八、六二五円
右は左記のAからBを差引いた差額である。
A(1) 期首の公表決算以外の売掛金過大の金額六七〇、二五八円に前期公表決算以外に有していた訴外渡辺満安外一名から売掛金の入金された四八〇、七七八円を加えた一、一五一、〇三六円より、当期中に原告が公表決算で売上値引とした一一六、二一六円を差引いた金額一、〇三四、八二〇円
(2) 訴外永瑞洋行に対する公表決算計上の売掛金は架空であつて、前払金に計上すべきもの二、二一〇、三一六円
(3) 原告が公表決算に計上していなかつた売上値引額一、〇六五、九二二円
(4) 原告が公表決算で訴外安宅産業株式会社外一件に対する売掛金を重複計上していたもの六八一、九五一円
B 原告が公表決算以外に有していた訴外渡辺国夫外五件に対する売掛金が計上もれであつたもの三、六三四、三八四円
チ 保証金 〇円
リ 前払金 二、二一〇、三一六円
右は原告が公表決算以外に訴外永瑞洋行に対し有していたもので、右トのA、(2)に当るものである。
ヌ 棚卸勘定過大 一三、六二三、七一〇円
ル 買掛金 四、七九〇、一一四円
オ 未払金 四、七二一、三一七円
ワ 仮受金 二五、三二〇、九五六円
原告が公表決算で仮受金としていた訴外渡辺栄作外二件からの入金五五〇、〇〇〇円は売上代金に相当するものと判明したので、期首の公表決算以外の仮受金二五、七七〇、九五六円より除算したものに、前期において過大となつていたため除算済の訴外渡辺栄作に対する一〇〇、〇〇〇円が当期中に返済されているので、これを加算したものである。
〔昭和三六年度分〕
1 期首(昭和三六年一月一日現在)
前期末の各勘定科目・金額がそれぞれそのまま当期首に当るものであるが、昭和三五年度分の別途利益金額一六、六八三、九七七円は同年度の前期繰越金に加算されて当期における前期繰越金六三、六一三、七七九円となるものである。
2 期末(昭和三六年一二月三一日現在)
イ 土地 三、三四〇、〇〇〇円
期首の在高が当期中異動なくそのまま存在したものである。
ロ 指定金銭信託 二一三、六九四、〇五五円
右は原告が公表決算以外に東海銀行信託部に保有していたものである。
ハ 定期預金 一一五、七一三、八二八円
右は原告が公表決算以外に保有していた左記のものである。
東海銀行一宮支店 二九、一三二、九四五円
十六銀行一宮支店 一二、八六九、一六八円
協和銀行一宮支店 七二、九八一、七一五円
協和銀行今池支店 二〇〇、〇〇〇円
住友銀行名古屋支店 五三〇、〇〇〇円
ニ 普通預金 二九〇、六〇六円
右は原告が公表決算以外に保有していた左記架空名義のものである。
大和・船場(坂田勝郎名義) 一、一七三円
東海・三河島(沢田俊次郎名義) 一、四〇〇円
東海・船場(大洋商事株式会社名義) 一、一三二円
大和・一宮(石井富雄名義) 一、四六三円
同 (吉田源一郎名義) 一、三七三円
協和・難波(笠伊義雄名義) 二、一三七円
東海・船場(松長太吉名義) 八二三円
同 (吉本孝平名義) 一、四五一円
東海・一宮(尾沢幸二名義) 一、一二〇円
三和・本町(黄鶴立名義) 一一一円
神戸・本店(梁徳祥名義) 一、〇四〇円
協和・一宮(藤井宏子名義) 一七三、五五七円
同 (根本豊名義) 七三、〇五二円
三菱・大伝馬町(小倉道夫名義) 七、八一一円
三和・堀留(山中嘉三名義) 四、五七二円
第一・堀留(八木兼光名義) 一八、三九一円
ホ 受取手形 〇円
ヘ 売掛金過大 八、四七六、七三八円
右は左記のAからBを差引いた差額である。
A(1) 期首の公表決算以外の売掛金過大の金額一、三五八、六二五円に前期公表決算以外に有していた訴外渡辺国夫外五件の売掛金が入金された三、六三四、三八四円を加えた四、九九三、〇〇九円より、当期中に原告が公表決算で売上値引とした八、三七六円を差引いた金額四、九八四、六三三円
(2) 原告が公表決算に計上していなかつた売上値引と後記り、のとおり既に無い保証金を被告が認容した合計額五、七二五、〇二八円
(3) 原告が公表決算で計上している売掛金のうち、元従業員訴外木村治の横領損分認容額八一九、七四二円
B 原告が公表決算以外に有していた訴外株式会社小林商店外五件に対する売掛金三、〇五二、六六五円
ト 棚卸勘定過大 一三、八四〇、〇〇〇円
チ 仮払金 二、七五〇、〇〇〇円
右は原告が訴外武藤善之進外四名より土地を買入れ(代金未決済で所有権移転登記も未済)のため支払つた金額について、原告は公表決算の土地勘定に四、八〇〇、〇〇〇円を計上していたが、調査の結果当期中の支払額は七、五五〇、〇〇〇円と判明したその差額である。
リ 債権償却引当金 七九〇、六四四円
原告は公表決算で訴外発昌洋行に対する保証金一、五八一、三二九円を計上しその半額を引当金としたのであるが、この保証金は引当する以前既に支払に充当されて無いものであるため、右引当金を否認したものである。
ヌ 買掛金 〇円
ル 未払金 〇円
四 預金関係の内容
右「別途利益」の各科目のうち、預金関係の具体的内容をさらに明らかにすると、本件係争各事業年度における指定金銭信託、定期預金、普通預金および通知預金(以下、本件預金額という)の内訳は、別表(五)(指定金銭信託、定期預金等の内訳表)記載のとおりである。これらは、原告の法人所得計算上、益金を構成するものであつて、原告はこれを公表決算に計上すべきであつたにもかかわらず、法人税ほ脱の目的をもつて計上しなかつたいわゆる裏預金である。
五 所得の隠ぺい
原告は、本件預金の存在を隠ぺいするために、その預金類の名義をすべて架空名義にしていたほか、極めて手のこんだ方法を用いて、預金化するまでの資金の流れについてもこれを隠ぺいしたものである。(後記被告の反論3参照)。また、原告は計画的に相当数の売上除外、架空仕入等の不正経理を行なつていたものであり、その詳細は後記(被告の反論2)のとおりである。
六 よつて、原告は故意による積極的行為により正当な所得金額を隠ぺいし仮装して法人税額を脱漏したものであるから、被告のなした本件課税処分には何らの違法もない。
(被告の主張に対する認否)
一 被告の主張一(課税の経緯)は認める。
二 同二(所得金額)に対する認否は別表(二)ないし(四)の各「原告の認否」欄記載のとおりである。
三 同三(別途利益)については以下のとおりである。
〔昭和三四年度分〕について
1 (期首)のイ(指定金銭信託) 否認する。
右信託は原告のものではなく、訴外村橋邦太郎個人に属するものである。その詳細は後記「原告の主張」のとおりである。
同ロ(定期預金) 否認する。理由は右イと同旨。
同ハ(現金) 現金の存在を否認する。
但し、昭和三三年中に、原告において架空仕入が多少あつたことは争わないが、その数額を争う。また、一一、五〇〇、〇〇〇円については、訴外村橋邦太郎個人が土地を売却したことは認めるが、これは個人の資産であつて、原告には何の関係もない。
同ニ(受取手形) 認める。
同ホ(売掛金) 認める。
同ヘ(保証金) 否認する。
原告が訴外発昌洋行に保証金を支払つていた事実はない。但し、原告は訴外発昌洋行との貿易取引に当り、オーバーブライスの操作上、売買代金の一部を同訴外人に返還していたが(実質的には値引と同様になる)、同訴外人は帳簿上の処理に窮して、この種金員を保証金として計上していたのではないかと思われる。
同ト(普通預金) 認める。
同チ(買掛金) 認める。
同リ(仮受金過大) 一、〇六二、八三九円については認めるが、一二〇、〇〇〇円については否認する。
同ヌ(社長勘定) 否認する。
同ル(特別仮受金) 否認する。
2 (期末)のイ(土地) 否認する。
土地の売買代金が四、六〇〇、〇〇〇円であつたことは認めるが、二、二六〇、〇〇〇円は訴外村橋邦太郎個人の支出であつて、右該当部分は原告の所有でない。仮にそうでないとしても、原告は右訴外人に対し二、二六〇、〇〇〇円の借受金を生ずる関係にある。
同ロ(指定金銭信託) 否認する。
同ハ(定期預金) 否認する。
同ニ(現金) 認める。
同ホ(受取手形) 認める。
同ヘ(売掛金過大) 認める。
同ト(保証金) 否認する。
原告は訴外発昌洋行に対しては保証金債権はない。
同チ(前渡金) 否認する。
同リ(普通預金) 認める。
但し、小島賢二郎名義の預金は、オーバーブライスに関する割戻引当金であつて、同額を貸方に計上すべきものである。
同ヌ(買掛金) 認める。
同ル(仮受金) 二五、八七〇、九五六円については認めるが、一〇〇、〇〇〇円については真実の仮受金であるから争う。
〔昭和三五年度分〕について
1 (期首) 否認する。
2 (期末)のイ(土地) 否認する。
土地の実際の売買代金が二、八七三、〇〇〇円であることは認めるが、一、〇〇〇、〇〇〇円は訴外村橋邦太郎個人の支出によるものである。
同ロ(指定金銭信託) 否認する。
同ハ(定期預金) 否認する。
同ニ(普通預金) 認める。
同ホ(通知預金) 否認する。
同ヘ(受取手形) 認める。
同ト(売掛金過大) Aの(2)を除き認める。
原告の訴外永瑞洋行に対する公表決算上の売掛金は正当であるが、オーバーブライスの操作上、原告は同訴外人に対して、相当金額を割戻していたものである。従つて右割戻金は前払金でもない。
同チ(保証金) 認める。
同リ(前払金) 否認する。理由は右トで述べたとおり。
同ヌ(棚卸勘定過大) 認める。
同ル(買掛金) 認める。
同オ(未払金) 認める。
同ワ(仮受金) 否認する。
訴外渡辺栄作からの入金は認めるが、右は真実仮受金である。
〔昭和三六年度分〕について
1 (期首) 否認する。
2 (期末)のイ(土地) 否認する。但し、土地の存在は争わない。
同ロ(指定金銭信託) 否認する。
同ハ(定期預金) 否認する。
同ニ(普通預金) 認める。
同ホ(受取手形) 認める。
同ヘ(売掛金過大) Aの(3)を除き認める。
元従業員の横領による損害金は合計一、九二〇、〇〇〇円である。
同ト(棚卸勘定過大) 認める。
同チ(仮払金) 否認する。
土地買入れの件は認めるが二、七五〇、〇〇〇円は訴外村橋邦太郎個人の支出によるものである。
同リ(債権償却引当金) 認める。
同ヌ(買掛金) 認める。
同ル(未払金) 認める。
四 同四(預金関係の内容)は認める。但し、本件預金類は原告のものではなく、訴外村橋邦太郎個人に属するものであり、その詳細は後述する。
五 同五(所得の隠ぺい)は、本件預金類の預金をなすに当つて架空名義を用いたこと、係争年度内にある程度の売上除外、架空仕入のあつたことを認め、その余を争う。
六 同六は争う。
(原告の主張)
本件預金類は、原告所有にかかるものではなく、訴外村橋邦太郎(以下訴外邦太郎という)個人に属するものである。以下、詳述する。
1 訴外邦太郎は、大正一〇年以降丸村商店なる商号のもとに手広く繊維製品の輸出、国内の卸売を営んできた。その結果第二次世界戦争の勃発直前の繊維製品の輸出が制限された時点において、大量のインド向け繊維製品のほか、多量の背広地、糸、オーバー地、モスリン、梳毛糸等を保有し、戦争中これを一宮市奥町川並東四七番地大橋武夫方ほか数か所に疎開させて戦火を免かれた。そこで訴外邦太郎は、終戦後、訴外野々垣賢太郎ほか自分の子供達をして右繊維製品を売却せしめたのであるが、これが戦後における訴外邦太郎の資本の根本となつたのである。なお、右繊維製品の種類、数量および価格は次のとおりである。
(一) 背広地
数量一五〇反 三、〇〇〇着分。
秋冬物サキソニー、ウーステツド等。色・紺、茶、ネズミ色等。
売却期間・昭和二一年より同二三年まで。
価格一着分七、〇〇〇円ないし一五、〇〇〇円。この処分代金合計約三〇、〇〇〇、〇〇〇円
(二) 糸
数量一、〇〇〇ポンド
売却期間・昭和二二年より同二三年まで。
価格一〇ポンド五〇、〇〇〇円。この処分代金合計約五、〇〇〇、〇〇〇円。
(三) オーバー地
数量一〇〇着分。色・茶、ネズミ、霜。
処分期間・昭和二一年より同二二年まで。
価格一着四、〇〇〇円。この処分代金約四、〇〇〇、〇〇〇円。
(四) モスリン
インド向の婦人服地。 数量約一、五〇〇着分。
処分期間・昭和二二年
価格一着二、〇〇〇円ないし三、〇〇〇円。この処分代金約三、〇〇〇、〇〇〇円
(五) 梳毛糸
半毛および純毛残糸、この糸を利用して尾西市三條野村昭二方等で背広地オーバー地を織らせ昭和二二年に処分した。この処分代金約二、〇〇〇、〇〇〇円
2 また、訴外邦太郎は、戦争中富士工機株式会社および一宮縲子工場を経営していたが、戦後右二つの会社を処分し、その処分代金および戦争中よりの手持金を含め金七〇〇、〇〇〇円の現金を所持していた。そして、昭和二一年の新円切替に際し、訴外邦太郎は切替後の繊維製品の騰貴を見越して、右現金で綿反、銘仙、服地、ガラ紡等を購入した。訴外邦太郎は、かくして購入した製品を、新円切替後の繊維製品の高騰を利用して巧みに処分し、その代金は七、〇〇〇、〇〇〇円(約一〇倍)となつた。
(実例) 新円切替以前の価格 切替後の価格
銘仙一反 一二〇円 一、二〇〇円
服地一着分 三〇〇円~一、〇〇〇円 三、〇〇〇円~一〇、〇〇〇円
綿反一反 七〇円~八〇円 九五〇円
ガラ紡一反 七〇円~八〇円 四〇〇円~五〇〇円
3 訴外邦太郎は、右1、2の取引で得た資金を利用して、昭和二一年九月頃より同二四年五月頃まで、種々の繊維製品の製造販売をなし、またこの頃各種繊維製品の仲介業を行ない、これらによつて二五、〇〇〇、〇〇〇円以上の莫大な利益を収めた。
(一) 製造販売(昭和二二年末より)
スフ糸綿糸等を購入して、金子新吾方で製品化し、広く日本中の業者に販売した。
(実例) スフの糸一俵(六三反ないし六五反取り)を六〇、〇〇〇円で購入、工賃一九、〇〇〇円で製品化すると、この製品は一俵一五七、〇〇〇円で売却できた。従つて、一俵の利益は七八、〇〇〇円にもなつた。多いときは一日に一五〇反(二俵)も売却した事実があつた。
(二) 仲介業
取扱つた商品は、綿糸、ローブ、服地、ガラ紡、ホームスパン、スフ、糸等である。
4 訴外邦太郎は、戦争中、一宮市奥町堤下野々垣孝二方に疎開し、戦災を免かれた書画、骨董、宝石類を、昭和二四、五年頃売却処分し、約一、五〇〇、〇〇〇円の現金を得た。
5 訴外邦太郎は、昭和二一年より名古屋駅前メトロ劇場東隣りで冷凍菓子の製造販売および喫茶店「メトロ」を経営し、昭和二三年廃業するまでに、この営業で約三、〇〇〇、〇〇〇円の利潤を得た。
6 訴外邦太郎は、昭和二四年頃大門のマーケツト並びにメトロ劇場東隣りのマーケツトの権利を講入して、これを転売し、また「メトロ喫茶店」の権利をも売却し、合計約二、五〇〇、〇〇〇円の利潤を得た。
7 その他訴外邦太郎は、昭和二一年頃より同二四年頃までの間に、不動産の売買、建築、製パン、織機の売買、木材の売買等に手を出したが、生来の商才によつて、一部損失はあつたが、大半において相当の利益を挙げることができた。
8 かくして、訴外邦太郎は、戦後すなわち昭和二一年頃より同二四年頃までの混乱の時代に約八〇、〇〇〇、〇〇〇円の資本を蓄積したのであるが、本来の繊維業に戻るべく、昭和二四年五月一宮市神田町において、化繊、綿、毛織物、ブリント等の卸売並びに製造販売を営業目的とする紅屋商店を開業するに至つた。もつとも、その営業名義人は息子の村橋富士雄名義とし、子供らおよび一族たる村橋真一郎、村橋広三郎、野々垣賢太郎等を主たる従業員として発足したのである。
そして、紅屋商店の取扱つた商品のうち、特にリツプルブリントおよびニユーロンは時代の要請にマツチし、大きな利益源となり、同商店は右二商品およびその他商品の売買によつて、廃業までの六年間に、約四〇、〇〇〇、〇〇〇円の利益を挙げることができた。
9 さらに、訴外邦太郎は、昭和二八年七月三〇日、岡崎市桂町鍾場の土地一、七二二坪を三、六〇〇、〇〇〇円で購入し、昭和二九年より同三一年にかけてこれを合計一三、七八〇、〇〇〇円で転売し、約一〇、〇〇〇、〇〇〇円の利益を得たが、その他にも数多くの不動産投資を行なつて相当の利益を得たのである。
10 以上のとおり、訴外邦太郎は昭和二九年末において、戦前より所有していた不動産を除いて、約一三〇、〇〇〇、〇〇〇円の資産を蓄積し、そのうち約一〇〇、〇〇〇、〇〇〇円は各種預金として、残り三〇、〇〇〇、〇〇〇円は紅屋商店の在庫品として存在した。
ところで、訴外邦太郎は、時代のすう勢に従い、営業の形態を会社組織に改めることとし、既に昭和二六年原告会社を設立し、数か年の間原告会社と紅屋商店を並列的に経営していたが、昭和二九年末に至つて紅屋商店を廃業して原告一社で営業をなすことにし、その際前記在庫商品は原告をして販売せしめることとし、原告は昭和三〇年より同三三年頃までにこれを売却し、その代金は訴外邦太郎個人の各種預金に組入られたのである。
11 さらに、訴外邦太郎は、昭和三四年神奈川県箱根宮城野村の土地を売却し、その代金のうち二五、〇〇〇、〇〇〇円を自己の預金とした。
12 その他、訴外邦太郎は自分が経営している丸邦毛織株式会社が昭和三四年度中に売上げた商品代金二五、〇〇〇、〇〇〇円を会社帳簿に記載せず、その売上金を自己の預金に組入れた。
以上述べたように、被告が原告の資産であると主張している本件預金類はすべて訴外邦太郎が儲けた同人個人の資産であつて、原告の資産ではない。従つて、この点に関する被告の主張はすべて失当である。
(被告の反論)
一 原告は、本件預金類はすべて訴外邦太郎が儲けた同人個人の資産であつて原告の資産ではない旨主張するが、その資産源についての主張は、いずれも事実無根であるか、ないしは著しい誇張であつて、不合理、不自然であり、とうてい信を置けるものではない。
二 本件預金類が原告に帰属することは、以下の諸事実からも明らかである。
1 原告会社の人的構成および業績
原告会社は、昭和二六年三月二二日設立し、毛織物の卸および販売を主たる事業とする資本金八、〇〇〇、〇〇〇円の法人税法上のいわゆる同族会社であつて、訴外邦太郎を代表者とし、長男富士雄、次男真一郎、三男広三郎、四男実ら村橋一族が専務あるいは常務取締役を構成していて、従業員の総数は約五〇名である。
製品は婦人物が主で、尾西地方をはじめ、名古屋、東京、近畿地方に販路を有し、係争各年度における売上高はそれぞれ約一〇億円に上るところ、申告された所得は、係争一期および二期は約六、〇〇〇、〇〇〇円、三期については約三、〇〇〇、〇〇〇円の欠損としており、後記のとおりこの額は当時の同業者の業績に比し、著しく低いものとなつている。
2 計画的な売上除外、架空仕入の存在
原告は、係争各年度において相当数の売上除外、架空仕入を計画的に行なつていた。これらの売上除外、架空仕入は、事柄の性質上その全貌を明らかにすることは容易なことではないが、それでも相当数の売上除外、架空仕入が発見されたもので、その詳細は次のとおりである。
(一) 売上除外
(1) 製品売上除外
原告は、山梨県方面に製品を販売するに当り、売主名義に「都築商店」「木村一」等の架空名義を使用し、仕切書、納品書等の取引関係書類にもこれらの架空名義を使用する等の方法によつて売上を除外していた(公表帳簿に計上していない)。その売上先氏名と売上除外額は別表(六)(製品売上除外表)記載のとおりである。
また原告は、輸出向製品を訴外香港発昌洋行の国内代理店である発昌洋行(岐阜市)に販売するに当り、次のとおりその売上の一部を除外していた。
期間 昭和三五・三・一八~三五・一一・四
製品名、数量 ウールおよびサージ、二三、〇五三ヤール
売上高 一二、九〇二、〇五一円
売上高のうち計上額 八、一四七、三六〇円
売上除外額 四、七五四、六九一円
(2) 輸出売上計上除外
原告は、輸出取引の代金として受取つた外国為替(輸出信用状=L/C)を東海銀行一宮支店に買取らせるに当り、別表(七)(輸出売上計上除外表)記載のとおり、その代金の一部を除外した。
また原告は、シンガポールのダラムダス商会との輸出取引に際し、通謀のうえ実際の輸出契約額より少額の信用状(L/C)を受取り、別途に実際の契約額との差額を受領したにもかかわらず、次のとおりその計上をしていなかつた。
昭和三四年一月 差額 二四〇・〇〇ドル
二月 同 六三七・七四ドル
三月 同 二、九五七・〇八ドル
四月 同 二、四一七・五二ドル
五月 同 二、〇五八・〇五ドル
六月 同 六一九・九〇ドル
七月 同 二三七・七五ドル
八月 同 三〇〇・〇〇ドル
九月 同 二四〇・〇〇ドル
右ドル単価三六〇円、差額計上洩れ額合計三、四九四、八九四円
(3) 特別外貨資金確認記録書の権利譲渡の計上除外
原告は、毛製品輸出により取得した「毛製品輸出実績確認書」(羊毛輸入権)を昭和三四年度中に譲渡し、その売上を次のとおり除外していた。
(イ) 売上先 三井物産株式会社名古屋支店
毛製品輸出実績確認書 二、三一一、四八一円
(ロ) 売上先 二宮株式会社
毛製品輸出実績確認書 一、一三六、四六九円
(合計) 三、四四七、九五〇円
(二) 架空仕入関係
(1) 仕入原毛、染料架空計上
原告は、実際に仕入がないのにかかわらず、原毛については別表(八)(架空仕入関係表)の1記載のとおり、染料については同別表の2記載のとおり、それぞれあたかも取引があつた如く仮装して、仕入額を架空計上していた。
(2) 仕入製品過大計上
原告は、同族関係会社である訴外丸邦毛織株式会社の簿外製品を仕入れるに際し、発昌洋行より仕入れた如く仮装して、同族関係会社間の裏取引を隠ぺいすると共に、実際に仕入の値増しがないにもかかわらず、右別表(八)の3記載のとおり、値増しがあつた如く取引を仮装して、仕入を水増し計上していた。
以上の売上除外、架空仕入額を合計すれば七四、四七九、九五七円となる。
なお、原告は、本件係争年度前である昭和三三年度および同三二年度においても、前記と同様な手段によつて、売上除外および架空仕入を行なつている。これらは直接強制調査の対象とされなかつたので、不正経理の全容は明らかにされなかつたが、判明したものは次のとおりである。
昭和三二年度 仕入架空計上 二、四一三、八六一円
昭和三三年度 製品売上除外 九三〇、〇〇〇円
外貨売上除外 一、四一八、四四八円
仕入架空計上 二一、〇七四、六二七円
(昭和三三年度合計 二三、四二三、〇七五円)
従つて、それ以前の年度においても、このような不正計理が行なわれていたであろうことを窺うに難くない。そして、これらの不正経理の金が「別途利益」として本件預金類となつたものであることは、容易に推認することができる。
3 本件預金類の隠ぺい方法
原告は、本件預金類の存在を隠ぺいするため、その預金類の名義をすべて架空名義にしていることは既述のとおりであるが、さらに、原告は預金化するまでの資金の流れについても、これを隠ぺいするため、次に述べるようなはなはだ手の混んだ方法を用いている。これらの事実からしても、原告がいかに計画的かつ用意周到にその所得を隠ぺいしようとしていたかを窺い知ることができる。
(一) 原告会社の常務取締役である訴外村橋実は昭和三三年二月頃大和銀行一宮支店の訴外田島愛也に原告所有にかかる手形一〇通を渡し「判らないように」と取立を依頼した。そこで右田島は当時大和銀行船場支店勤務の訴外内田清文に依頼して取立のうえ、一部を同行船場支店の坂田勝郎名義の普通預金とし、一部を同行一宮支店の清水商店清水重夫名義の普通預金としておいて、そのうえで同年三月二四日に至り、右清水重夫名義の普通預金から五〇〇、〇〇〇円、同日右内田清文名義の口座から五〇、〇〇〇円、同月二五日右坂田勝郎名義の普通預金から五〇〇、〇〇〇円、合計一、〇五〇、〇〇〇円をそれぞれ払出して、同行名古屋支店あての送金小切手を作成し、これを同行一宮支店の右田島愛也へ送付し、同人が三月二六日同行名古屋支店で現金化したうえ、同日同行一宮支店において加藤誠市名義一、〇五〇、〇〇〇円の定期預金とした(別表(五)昭和三四年一の1のロ、二八七番)。
(二) 大和銀行船場支店の坂田勝郎名義の普通預金から昭和三三年三月三一日五〇〇、〇〇〇円を払出し、同日同行一宮支店清水商店清水重夫名義の普通預金から三〇〇、〇〇〇円を払出し、右合計八〇〇、〇〇〇円に現金一〇、〇〇〇円が加えられ、同日同行一宮支店において大脇一雄名義八一〇、〇〇〇円の定期預金とした(同二八六番)。
(三) 協和銀行一宮支店の藤井宏子名義の普通預金から昭和三六年四月一七日一、〇〇〇、〇〇〇円を払出し、それを同日同支店で山本明夫名義三〇〇、〇〇〇円、山本靖名義二〇〇、〇〇〇円、山本昌隆名義二五〇、〇〇〇円、山本太郎名義二五〇、〇〇〇円の各通知預金とし、同年九月二〇日これらの通知預金を解約のうえ、同日同支店において、右四口の利息額一〇、九二〇円を加えて、さらに山本明夫名義三〇〇、〇〇〇円、山本靖名義二一〇、九二〇円、山本昌隆名義二五〇、〇〇〇円、山本太郎名義二五〇、〇〇〇円の定期預金とした(同表昭和三六年三の2のハ、六三二番ないし六三五番)
4 本件預金類の預入時期
本件預金類は、八か所の各銀行支店において、指定金銭信託、定期預金等四一七口にわたり総額三二九、四〇七、八八三円に達するが、これらは一件(昭和二九年大和銀行取扱にかかる八〇〇、〇〇〇円)を除きすべて昭和三〇年四月以降に架空名義をもつて預入れされたものである。右預入にかかる年度と各銀行別金額は別表(九)(本件預金類の預入表)記載のとおりである。
このように、本件預金類が昭和三〇年以降に預入れされていることは、本件預金類と訴外邦太郎の同族関係者の資産とが無関係であることを示すものである。ただし、原告主張の如く訴外邦太郎に資産があつたとしても、何故それが昭和三〇年頃から一斉に現金化され預金化されたのであるか、常識では理解できないことである。
5 原告と同業者の業績
繊維業界は昭和三〇年頃から好況を呈し、原告もその頃から着々と業績を挙げていたのであつて、売上除外、架空仕入等の不正経理をもつてするならば、優に本件預金類等の別途利益をつくる余裕があつたものである。
すなわち、愛知県下における毛織物取引市況は昭和三〇年度以降原料不足の解消から活況を呈し、その生産高は、昭和二九年を一〇〇とした場合、逐年増加して昭和三四年度には二〇三となつた。尾西地区(一宮・尾西市地方)においても同様であり、同地区の昭和二九年度毛織物製造工場数一、二四八工場、織機実動台数六、七九一台が、昭和三四年には一、二五九工場、八、三四五台となり、毛織物の生産高中、婦人服地は三六三万メートルが一、四二九メートルと三九三%の増加を示し、企業収益も向上の一途をたどつたのである。
そして、原告と取扱商品を同じくする婦人物織物業者は、製造業者たると卸売業者たるとを問わず、非常な収益を挙げ、その利益額は、昭和三〇年度を一〇〇とした場合、三四年度は約三〇〇ないし六〇〇となり、造れば飛ぶ様に売れ、業者は利益圧縮に躍起となつたことは尾西地方では周知の事実であつた。原告と取扱商品を同じくする製造業者並びに卸業者の昭和二九年から同三五年の事業年度別の業績は別表(十)(同業者の年度別業績表)記載のとおりである。
そこで、原告の業績をその作成にかかる財務諸表からみると別表(十一)(原告の年度別業績表)記載のとおりであるが、これを右同業者のそれと比較してみた場合に、その差益率が異常に低いのが大きな特徴であつて、このことは本件預金類の資金源を示すに十分である。
6 原告の同族関係者の個人収入
本件預金類は原告の同族関係者個人のものとは認められない。すなわち、原告の同族関係者は、昭和三〇年度以降は原告会社の経営に専心していたものであつて、原告からの給与、手当等の収入以外に収入源はなかつたのである。ただ、訴外邦太郎は昭和三三年度に多額の山林所得があるが、これはそのほとんど(二五、〇〇〇、〇〇〇円)を原告に貸付けているから本件預金類の帰属の関係では無視してよい。従つて、村橋一族の収入はそれぞれの家庭の生活を維持するに足りる程度のものであつて、本件預金類の如き膨大な金額の資金源となりうるようなものではない。ちなみに、訴外邦太郎およびその一族の昭和三三年ないし三六年度の確定申告書の内容を示せば、別表(十二)(同族関係者の個人収入表)記載のとおりである。
7 本件預金類の取扱
本件預金は前述のように昭和三〇年以降において関係金融機関に入金されているのであるが、その取扱者は原告会社の常務取締役(会計担当)である訴外村橋実である。そして、本件預金類は、原告において借入金の担保およびその弁済などに供し、運用しているのである。
以上の事実を総合すれば、本件預金類が原告に帰属し、それ以外の者に帰属するとは認め難いことが明らかである。
(被告の反論に対する原告の認否等)
一 被告の反論に対する認否
1 被告の反論二の1(原告会社の人的構成等)は認める。但し、原告の申告所得が当時の同業者と比べて著しく低いことは否認する。
2 同2(売上除外、架空仕入の存在)のうち、売上除外については、山梨県関係の製品売上除外および特別外貨資金確認記録書の売却代金除外は認めるがその余は否認する。架空仕入関係については、原毛、染料関係の架空仕入は認める、仕入製品の過大計上があつたことは認めるが、その数量は否認する。その余の事実は否認する。
3 同3(本件預金類の隠ぺい方法)については、訴外邦太郎が預金をなすに当つて架空名義を用いたことは認めるが、その余は争う。
4 同4(預金の預入時期)については、現存する預金の多くが昭和三〇年四月以降に預入開始されたものであることは争わないが、その余は争う。その詳細は不知。但し、右預入開始年度において当該金額が所得されたのではなく、従前より預金、現金等多様な形式で存在した訴外邦太郎の資産がその時点において本件預金類の姿をとることになつたにすぎない。
5 同5(原告と同業者の業績)については、原告の年度別業績が別表(十一)記載のとおりであることは認めるが、その余は争う。
6 同6(同族関係者の個人収入)については、村橋一族の給与所得額を認めるが、その余は否認する。
被告は、村橋一族の隠匿財産は原告会社設立後の脱税のみからなると主張するのであるが、常識的に考えても、昭和三〇年以後よりも戦後から昭和三〇年頃の混乱期の方が繊維業界の利潤は大であり、また税制が整備されていなかつた当時の方が、脱税が容易であり、かつ脱税額が大きかつたことは、容易に想像されるところである。事実、本件預金類はその多くが昭和三〇年以前の脱税による所得に基礎をおいているのである。
7 同7(預金類の取扱)は争う。
訴外村橋実は村橋家の金庫番の立場にあり、同人が銀行取引を実行したからといつて、預金が法人のものとされたり、法人が管理していることにはならない。また、預金証書、印鑑類は個人宅で管理されており、会社において保管されてはいない。なお、銀行の担保は、個人のものであつても、また第三者のものであつてもよく、当該法人の預金であることを必要としない。
二 本件で最も金額の多い争点は、本件預金類の資産の増加である。そのうち利息額は、昭和三四年度においては一四、一二二、四八九円、昭和三五年度においては一三、九一九、八六六円、昭和三六年度においては二一、二五一、五五九円、合計四九、二九三、九一四円に達しているのである。
本件預金類は、その預金の源泉の大部分が不明のまま、事実として形成されたものであり、そのうちに訴外邦太郎の資産(個人時代に脱税によつて蓄積した預金)が多く存することは否定できないところである。従つて、その利息がすべて原告の資産になるとする被告の主張の失当であることは明らかである。
三 訴外邦太郎にあつては、個人時代に脱税によつて蓄積した預金(紅屋の在庫処分金を含む)と原告の脱税による現金とを、将来の個人の必要資金(子供らの独立資金等)あるいは法人の万一の場合の必要資金として、個人として保管することとし、四男の実をしてこれを管理させていたのであるが、個人たると法人たるとを問わず、脱税による蓄積であるから、隠し預金として種々術策を弄して保管し、かつその保管には銀行の協力も必要なところから、銀行にはある程度の協力(協力預金等)をしつつあつたところ、本件強制調査に至つたもので、むしろ、本件預金類は個人としての隠し預金とみるのが相当であり合理的である。被告の見解は一方的、独善的、かつ徴税のための便宜的見解というべきである。
第三証拠
(原告)
甲第一号証、第二、三号証の各一ないし三、第四号証の一、二、第五ないし第三一号証を提出し、証人村橋実の証言を援用し、乙第七〇号証の一ないし五、第七一号証、第一〇六号証、第一二〇号証の一、二、第一二一号証の一ないし三の成立を不知とし、その余の乙号各証の成立を認めた。
(被告)
乙第一号証の一ないし三、第二号証の一、二、第三号証の一ないし六、第四号証の一ないし八、第五号証、第六号証の一ないし六、第七ないし第一三号証、第一四号証の一、二、第一五号証の一ないし五、第一六号証の一ないし三、第一七号証の一ないし四、第一八ないし第二〇号証、第二一号証の一ないし三、第二二ないし第二六号証、第二七号証の一ないし五、第二八号証の一ないし六、第二九、三〇号証、第三一号証の一ないし三、第三二号証の一ないし五、第三三号証、第三四号証の一ないし六、第三五号証の一ないし三、第三六、三七号証の各一、二、第三八号証、第三九号証の一、二、第四〇号証、第四一号証の一ないし三、第四二、四三号証、第四四号証の一ないし三、第四五ないし第五一号証、第五二号証の一ないし四、第五三号証の一ないし一九、第五四号証の一ないし九、第五五号証の一、二、第五六号証の一ないし五一、第五七ないし第六三号証の各一、二、第六四号証の一ないし七一、第六五号証、第六六号証の一、二、第六七、六八号証、第七〇号証の一ないし五、第七一ないし第一一九号証、第一二〇号証の一、二、第一二一号証の一ないし三、第一二二、一二三号証、第一二四号証の一、二、第一二五ないし第一二九号証を提出し、証人北野仁俊、同和田真、同原稔の各証言を援用し、甲号各証の原本の存在と成立を認めた。
理由
一 本件課税処分の内容、経緯等(請求原因第一項および被告の主張第一項の各事実)は当事者間に争いがない。
二 原告の本件係争各年度の所得金額は、被告の主張する別表(二)ないし(四)のうち、いずれも「別途利益」を除き、その余については原告も認めて争わないところである。
そこで、以下右「別途利益」について判断するが、先ず、本件で最も金額も多く、各年度共通の争点となつている本件預金類の帰属について検討する。
三 本件預金類の帰属について
本件預金類(指定金銭信託、定期預金等)の帰属について、原告は、それは訴外村橋邦太郎個人の資産である、仮にその全部がそうと認められないとしても、その大部分、あるいは少なくとも預金利息による増加分については同訴外人個人の資産である旨主張する。
そこで判断するに、本件各証拠ならびに弁論の全趣旨を総合すると、結論として、本件預金類はすべて原告に帰属すると認めるのが相当である。以下、詳述する。
1 本件預金類は、東海銀行一宮支店等八か所の各銀行支店において、架空名義をもつて預入れされたいわゆる簿外預金であり、指定金銭信託、定期預金、普通預金および通知預金の合計四一七口にわたり、総額約三三〇、〇〇〇、〇〇〇円に達するものであること、本件係争各年度におけるその内訳が別表(五)記載のとおりであることは、当事者間に争いがない。そして、成立に争いのない甲第三一号証および弁論の全趣旨によれば、本件預金類は一件(昭和二九年大和銀行取扱にかかる八〇〇、〇〇〇円)を除き、すべて昭和三〇年四月以降に預入れされたものであり、右預入にかかる年度と各銀行別金額は別表(九)記載のとおりであることが認められる。これによれば、昭和三〇年末に約五〇、〇〇〇、〇〇〇円であつた本件預金類の預金残高は昭和三三年末には約一七〇、〇〇〇、〇〇〇円に、昭和三六年末には約三三〇、〇〇〇、〇〇〇円に増加しているものである。
2 右預金の源泉が何であるかは最も問題の存するところであるが、原告に一部売上除外、架空仕入があつたことは当事者間に争いがなく、さらに、成立に争いのない乙第一一一号証、第一一五ないし第一一八号証、証人北野仁俊の証言により真正に成立したものと認める乙第一二〇号証の一、二、一二一号証の一ないし三および同証人の証言によれば、原告は計画的な売上除外、架空仕入等の不正経理を行なつていたことが認められ、原告に対する強制調査により明らかにされたものに次の如きものがある。
(一) 売上除外
(1) 山梨県方面の製品売上除外
別表(六)記載のとおりであることは当事者間に争いがない。すなわち、その売上除外額は次のとおりである。
昭和三四年度売上除外 一、三四三、四二四円
昭和三五年度売上除外 一〇、六三八、六七七円
昭和三六年度売上除外 一三、四七一、二三八円
(2) 発昌洋行に対する売上除外
成立に争いのない乙第五四号証の一ないし九、第五五号証の一、二によれば、訴外発昌洋行に対する売上除外額は次のとおりであることが認められる。
昭和三五年度売上除外 四、七五四、六九一円
(3) 輸出売上計上除外
成立に争いのない乙第五六号証の一ないし五、第五七ないし第六二号証の各一、二によれば、原告は外国為替を東海銀行一宮支店に買取らせるに当り、別表(七)記載のとおりその代金の一部を除外したことを認めることができる。すなわち、その売上除外額は次のとおりである。
昭和三四年度売上計上除外 一三、三三七、三二六円
昭和三五年度売上計上除外 一、五八六、八七五円
(4) ダラムダス商会に対する差額計上除外
成立に争いのない乙第六三号証の一、二、第六四号証の一ないし七一、第六五号証によれば、原告はダラムダス商会との輸出取引について売上を計上しなかつた分があり、その額は次のとおりであると認められる。
昭和三四年度計上除外 三、四九四、八九四円
(5) 特別外貨資金確認記録書の権利譲渡の計上除外
左記の売上除外額があつたことは当事者間に争いがない。
昭和三四年度売上除外 三、四四七、九五〇円
(二) 架空仕入関係
(1) 仕入原毛架空計上
別表(八)の1記載のとおり架空計上があつたことは当事者間に争いがない。すなわち、その金額は次のとおりである。
昭和三四年度架空計上 三、八六六、三六二円
昭和三五年度架空計上 二一、一六四、七一九円
(2) 仕入染料架空計上
別表(八)の2記載のとおり架空計上があつたことは当事者間に争いがない。すなわち、その金額は次のとおりである。
昭和三四年度架空計上 一、九九六、八〇〇円
(3) 仕入製品過大計上
成立に争いのない乙第六六号証の一、二、第六七号証によれば、値増しによる仕入製品過大計上額は別表(八)の3記載のとおり認めることができる。その金額は次のとおりである。
昭和三四年度過大計上 七、三五九、一〇二円
以上の売上除外、架空仕入額を合計すると、昭和三四年度分三四、八四五、八五八円、昭和三五年度分三八、一四四、九六二円、昭和三六年度分一三、四七一、二三八円、合計八六、四六二、〇五八円となる。
また、成立に争いのない乙第二二号証、第六八号証、証人原稔の証言により真正に成立したと認める乙第七〇号証の一ないし五および同証人の証言によれば、本件係争年度前においても、原告は前記と同様の手段によつて売上除外、架空仕入を行なつており、判明した額は次のとおりである。
昭和三二年度仕入架空計上 二、四一三、八六一円
昭和三三年度製品売上除外 九三〇、〇〇〇円
外貨売上除外 一、四一八、四四八円
仕入架空計上 二一、〇七四、六二七円
(昭和三三年度合計 二三、四二三、〇七五円)
右の事実によれば、原告は本件係争各年およびそれ以前において、多額の売上除外、架空仕入等の不正経理を行なつており、これらの不正経理による取得資金が本件預金類の源泉となつたものであると推認することができる。
3 それでは、本件預金類を形成するに足りる収入が原告に存したか否かについて検討すると、証人和田真の証言により真正に成立したと認める乙第七一号証、成立に争いのない乙第七二、七三号証および弁論の全趣旨によれば、愛知県下における婦人物織物業者は、製造業者・卸売業者共に、昭和三〇年頃より好況による非常な収益を挙げたものであり、例えば原告と取扱商品を同じくする同業者の昭和二九年ないし同三五年の事業年度別の業績は別表(十)記載のとおりであることが認められ、これによれば、その利益額が逐年大きく増加していることが認められる。そして、原告が当時同業者に比べてその利益を挙げえない特段の事情も認められないので、原告もまた右同業者と同様に、昭和二九年から同三六年にかけてその利益額を増大させてきたと推認することができる。
これに対して、原告の財務諸表による原告の年度別業績が別表(十一)記載のとおりであることは当事者間に争いがないところ、これと右同業者の業績表を対比すると、その差益率および利益増加率の低いことが認められる。
これよりすれば、原告の営業による利益が本件預金類およびその他の別途利益に十分なりえたものであることが認められる。
4 他方、訴外邦太郎およびその同族関係者の個人収入についてみるに、成立に争いのない甲第一号証、第二、三号証の各一ないし三、第四号証の一、二、第五ないし第七号証、乙第七五ないし第一〇五号証、第一一二号証、第一一四号証を総合すると、訴外邦太郎が昭和二九年末の紅屋商店廃業後は、同訴外人および同族関係者は原告会社の経営に専心していたものであり、原告からの給与、手当等の収入以外にこれといつた収入源は存しなかつたことが認められ、昭和三〇年四月以降本件預金類を形成するに足りる資金源が訴外邦太郎らに存したと認めうる証拠はない。また、前出乙第一一二号証、成立に争いのない乙第一一七号証によれば、訴外邦太郎の経営する傍系会社である丸邦毛織株式会社、丸村商事株式会社の簿外利益は本件預金類に入つていないことが認められる。ただ、成立に争いのない乙第一一号証および証人北野仁俊の証言によれば、訴外邦太郎には山林売買による所得があり、ことに昭和三三年度に箱根の山林を売却した所得四〇、〇〇〇、〇〇〇円があつて、そのうち約一五、〇〇〇、〇〇〇円が架空名義で預金された事実が認められる(右売却代金の一部は、「別途利益」の算定においては、訴外邦太郎の原告に対する無利息の貸付金として処理)。
原告は、訴外邦太郎は、昭和二九年末において、約一〇〇、〇〇〇、〇〇〇円を各種預金として、約三〇、〇〇〇、〇〇〇円を紅屋商店の在庫品として有しており、これらが本件預金類の大半を占めるものである旨主張する。
しかしながら、訴外邦太郎が昭和二九年末に約一〇〇、〇〇〇、〇〇〇円を各種預金として有していたとの点については、これに副う前掲甲第一号証、第二、三号証の一ないし三、第四号証の一、二、第五ないし第七号証、成立に争いのない甲第八、九号証、第三〇号証および証人村橋実の証言は成立に争いのない乙第一〇七ないし第一一四号証、第一一七、一一八号証および証人北野仁俊の証言に照らして判断するとこれを認めるに足りず、またこれと昭和三〇年四月以降に架空名義で預けられている本件預金類との関連を示すに足りる証拠もない。次に紅屋商店の在庫品については、右甲号各証によれば、その数量はともかくとして、紅屋商店の在庫品が昭和二九年末の廃業時に存在し、これが原告によつて売却され、その売却代金が本件預金類の源泉の一部となつたことが認められる。しかし、商品の売却代金は先ず売却した人にむしろ帰属するのであつて、直ちに商品の所有者に帰属するものではない。従つて、訴外邦太郎所有在庫品の売却代金の預金が誰に帰属するかはその処理状況によつて決せられるところ、右甲号、乙号各証および証人村橋実の証言を総合すると、右在庫品の売却代金は原告の売上代金と一体として処理されているものであるから、これが訴外邦太郎に帰属するものとは直ちに認め難いところである。
結局、本件預金類は、そのほとんどが原告の営業活動とその不正経理によつて形成されたものということができる。
5 次に、本件預金類の使途についてみるに、本件預金類が訴外邦太郎ないしその同族関係者の個人的用途に使用されたと認めるべき証拠は存しない。ただ、成立に争いのない甲第二九号証によれば、訴外邦太郎が昭和三〇年頃長女の村橋栄子に対し約一〇、〇〇〇、〇〇〇円の預金を贈与する旨約束したことが認められるが、それが履行されたと認めるに足りる証拠はない。
そして、前出乙第一〇七号証、第一一七、一一八号証、成立に争いのない乙第一二二、一二三号証、第一二四号証の一、二、第一二五ないし第一二七号証および証人北野仁俊の証言によれば、原告の銀行からの借入金の担保および債務弁済に本件預金類の一部が利用されていること、訴外邦太郎は利殖のためよりも原告会社の裏担保として利用する意図のもとに本件預金類の蓄積に努めてきたものであることが認められる。これにより、本件預金類運営による利益は直接原告が享受していたとみるのが相当である。
6 本件預金類を取扱つていたのは訴外村橋実であり、同訴外人が原告会社の常務取締役であると同時に訴外邦太郎の四男であることは当事者間に争いがない。また、成立に争いのない乙第二三号証、前出乙第一一七、一一八号証、第一二三号証、第一二四号証の一、二、第一二五ないし第一二七号証によれば、本件預金類の預金証書は裏印を押していつでも支払を受けうる状態で預入れ銀行において保管していたことが認められる。右事実のみからは、本件預金類の管理が原告のためになされていたとも訴外邦太郎のためになされていたとも断定し難いが、既出の各証拠を総合すると、右村橋実は父個人のためというよりも、原告会社のためにその業務の一端として本件預金類を管理していたものと認めるのが自然である。
以上のことを総合して判断すると、本件預金類は訴外邦太郎の個人資産とは認め難く、その元本・利息を含めてすべて原告に帰属し、原告の資産であると認めるのが相当である。
四 そこで、被告主張の「別途利益」について検討するが、被告は、資産負債増減法による貸借対照方式、すなわち、本件各係争年度の各決算期末の貸借対照表の勘定科目ごとの別途財産より各決算期首の別途財産を控除して、原告の「別途利益」を算定するものである。そこで、本件係争各年度の期首、期末の各勘定科目の内容を以下検討する。
〔昭和三四年度分について〕
1 期首(昭和三四年一月一日現在)
イ 指定金銭信託 一一〇、六七六、二六九円
前記三認定の事実および当事者間に争いのない別表(五)によれば、原告が公表決算以外に裏預金として、指定金銭信託合計一一〇、六七六、二六九円を保有していたことが認められる。これが原告の資産に属し、訴外邦太郎個人の資産でないことは前述のとおりである。
ロ 定期預金 五九、二三八、五八四円
前記三認定の事実および当事者間に争いない別表(五)によれば、原告が右金額の定期預金を保有していたことが認められる。
ハ 現金 二三、八六一、三〇〇円
右金額は被告の認めるところであり、これ以上に現金が存したと認める証拠はない。
ニ 受取手形 一、五〇〇、〇〇〇円
ホ 売掛金 一四八、九八四円
右ニ、ホは当事者間に争いがない。
ヘ 保証金 二一〇、七一四円
成立に争いのない乙第六号証の一、第一五号証の一、同号証の四、五によれば、原告は公表決算で訴外発昌洋行に対する保証金を四、六六一、三〇〇円としていたが、四、八七二、〇一四円が正当な金額であると認められ、その差額である。原告は、訴外発昌洋行に対して保証金を有しない旨主張するけれども、右乙号証および成立に争いのない乙第一六号証の二、三、第一七号証の一ないし四によれば、原告は右訴外人に対し、保証金科目で貸金を有していたことが認められる。
ト 普通預金 二、三五九、九六九円
チ 買掛金 四、九〇九、八八九円
右ト、チは当事者間に争いがない。
リ 仮受金過大 一、一八二、八三九円
右のうち、渡辺栄作に対する一二〇、〇〇〇円を除き、一、〇六二、八三九円については当事者間に争いがない。成立に争いのない乙第二一号証の一、三、第二二号証によれば、訴外渡辺栄作に対する公表決算上の仮受金は、仮受金でなくすべて売上代金であると認められるので、同訴外人に対する一二〇、〇〇〇円の仮受金を売上代金とするのが相当である。
ヌ 社長勘定 二五、〇〇〇、〇〇〇円
右は、原告が公表決算以外に社長村橋邦太郎より受入れていた金額であるとして被告が主張するものであり、その内訳は、訴外邦太郎が個人所有の箱根の山林を売却して入金した四〇、〇〇〇、〇〇〇円のうち、別途利益の期首現金とした一一、五〇〇、〇〇〇円と期首指定金銭信託とした一三、五〇〇、〇〇〇円の合計額である。この金額は、係争各年度の期首期末を通じて変動のないものである。
ル 特別仮受金 一六九、二六八、七七〇円
右は原告の公表決算以外の本件課税以前の別途繰越金として、被告が主張する金額であり、期末と同額のものである。
2 期末(昭和三四年一二月三一日現在)
イ 土地 二、三四〇、〇〇〇円
原告が名義人鈴木喜一郎より買入れた土地について、公表決算で二、二六〇、〇〇〇円としていたが、四、六〇〇、〇〇〇円がその正当な取得価額であることは当事者間に争いがない、原告は、右差額二、三四〇、〇〇〇円は訴外邦太郎個人の支出である旨主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。
ロ 指定金銭信託 一八三、九八六、七六二円
前記三認定の事実および当事者間に争いない別表(五)によれば、原告が右金額の指定金銭信託を保有していたことが認められる。
ハ 定期預金 七七、九三四、六二〇円
右ロと同様に、原告が右金額の定期預金を保有していたことが認められる。
ニ 現金 〇円
ホ 受取手形 〇円
ヘ 売掛金過大 六七〇、二五八円
右ニ、ホ、ヘは当事者間に争いがない。
ト 保証金 二五七、七三七円
前出乙第一六号証の一ないし三、第一七号証の一ないし四によれば、原告は訴外発昌洋行に対し、保証金三、三二九、九五六円を保有していたが、公表決算には保証金および仮払金科目で三、〇七二、二一九円としていたことが認められ、その差額である。
チ 前渡金 一、八一八、九一八円
成立に争いない乙第四号証の七、第一八ないし第二〇号証によれば、原告は訴外永瑞洋行に対し、公表決算以外に右前渡金を保有していたことが認められる。
リ 普通預金 一、三〇一、七四九円
ヌ 買掛金 〇円
右リ、ヌは当事者間に争いがない。
ル 仮受金 二五、七七〇、九五六円
原告の公表決算以外に、被告は訴外丸邦毛織株式会社からの仮受金として二五、八七〇、九五六円を認め、これより原告が公表決算で仮受金としていた訴外渡辺栄作からの入金一〇〇、〇〇〇円(乙第四号証の五)を前記1、リのとおり売上代金と認めて差引いた差額である。
オ 社長勘定 二五、〇〇〇、〇〇〇円
ワ 特別仮受金 一六九、二六八、七七〇円
右オ、ワは期首と同額のものである。
右により、昭和三四年度の別途利益は四六、九二九、八〇二円となる。
〔昭和三五年度分について〕
1 期首(昭和三五年一月一日現在)
前期末の各勘定科目・金額がそのまま当期首のそれに当るものであり、昭和三四年度の別途利益金額四六、九二九、八〇二円は当期における前期繰越金となる。
2 期末(昭和三五年一二月三一日現在)
イ 土地 三、三四〇、〇〇〇円
原告が訴外林義正より買入れた土地について、公表決算で一、八七三、〇〇〇円としていたが、二、八七三、〇〇〇円がその正当な取得価額であることは当事者間に争いがない。右差額一、〇〇〇、〇〇〇円と前期の二、三四〇、〇〇〇円との合計額である。原告は、右差額一、〇〇〇、〇〇〇円は訴外邦太郎個人の支出である旨主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。
ロ 指定金銭信託 二〇〇、六六三、五九一円
前記三認定の事実および当事者間に争いのない別表(五)によれば、原告が右金額の指定金銭信託を保有していたことが認められる。
ハ 定期預金 八三、五〇七、〇七八円
右ロと同様に、原告が右金額の定期預金を保有していたことが認められる。
ニ 普通預金 一三、〇一〇円
右は当事者間に争いがない。
ホ 通知預金 六〇〇、〇〇〇円
前記ロと同様に、原告が右金額の通知預金を保有していたことが認められる。
ヘ 受取手形 一七、三六三、二七六円
右は当事者間に争いがない。
ト 売掛金過大 一、三五八、六二五円
被告主張のうち、Aの(2)(訴外永瑞洋行に対する二、二一〇、三一六円)を除き、当事者間に争いがない乙第二〇号証、第二七号証の一ないし四、第三二号証の三ないし五、第三三号証、第三四号証の一ないし六によれば、訴外永瑞洋行に対する売掛金二、二一〇、三一六円は架空であり、前払金に計上すべきものと認められる。
チ 保証金 〇円
右は当事者間に争いがない。
リ 前払金 二、二一〇、三一六円
前記トの訴外永瑞洋行に対する二、二一〇、三一六円である。
ヌ 棚卸勘定過大 一三、六二三、七一〇円
ル 買掛金 四、七九〇、一一四円
オ 未払金 四、七二一、三一七円
右ヌ、ル、オについては当事者間に争いがない。
ワ 仮受金 二五、三二〇、九五六円
成立に争いのない乙第二七号証の五、第三二号証の一、二、第三六、三七号証の各一、二、第三八号証(第六八号証)、第三九号証の一、二、第四〇号証によれば、原告が公表決算で仮受金としていた訴外渡辺栄作外二件からの入金五五〇、〇〇〇円は売上代金に相当すると認められるので、期首の公表決算以外の仮受金二五、七七〇、九五六円(前記昭和三四年度分2のル)より除算したものに、成立に争いのない乙第三五号証の一、二により、前期末において過大となつていたため除算済の訴外渡辺栄作に対する一〇〇、〇〇〇円(前記2のル)が当期中に返済されているので、これを差引いた金額である。従つて、仮受金過大額は四五〇、〇〇〇円となる。
カ 社長勘定 二五、〇〇〇、〇〇〇円
ヨ 特別仮受金 一六九、二六八、七七〇円
右カ、ヨは期首と同額のものである。
タ 前期繰越金 四六、九二九、八〇二円
昭和三四年度の別途利益金額である。
右により、昭和三五年度の別途利益は一六、六八三、九七七円となる。
〔昭和三六年度分について〕
1 期首(昭和三六年一月一日現在)
前期末の各勘定科目・金額がそのまま当期首のそれに当るものであり、昭和三五年度分の別途利益金額一六、六八三、九七七円は同年度の前期繰越金に加算されて当期における前期繰越金六三、六一三、七七九円となる。
2 期末(昭和三六年一二月三一日現在)
イ 土地 三、三四〇、〇〇〇円
期首と同額のもので、その存在については争いのないものである。
ロ 指定金銭信託 二一三、六九四、〇五五円
前記三認定の事実および当事者間に争いのない別表(五)によれば、原告は右金額の指定金銭信託を保有していたことが認められる。
ハ 定期預金 一一五、七一三、八二八円
右ロと同様に、原告が右金額の定期預金を保有していたことが認められる。
ニ 普通預金 二九〇、六〇六円
右は当事者間に争いがない。
ホ 通知預金 六〇〇、〇〇〇円
期首と同額のものであり、その存在は前記別表(五)により認めることができる。
ヘ 受取手形 〇円
右は当事者間に争いがない。
ト 売掛金過大 八、四七六、七三八円
被告主張のうち、Aの(3)(元従業員による横領損分認容額八一九、七四二円)を除き、その余については当事者間に争いがない。原告は、元従業員木村治による横領損害額は一、九二〇、〇〇〇円である旨主張するが、成立に争いのない乙第二四号証、第四三号証によれば、売掛金過大額としては右被告主張を認めるのが相当である。
チ 棚卸勘定過大 一三、八四〇、〇〇〇円
右は当事者間に争いがない。
リ 仮払金 二、七五〇、〇〇〇円
原告が訴外武藤善之進外四名より土地買入れのため支払つた金額について、公表決算で四、八〇〇、〇〇〇円としていたが、その正当な支払額が七、五五〇、〇〇〇円であることは当事者間に争いがない。右はその差額である。原告は、右差額二、七五〇、〇〇〇円は訴外邦太郎個人の支出によるものであると主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。
ヌ 債権償却引当金 七九〇、六四四円
ル 買掛金 〇円
オ 未払金 〇円
右ヌ、ル、オについては当事者間に争いがない。
ワ 社長勘定 二五、〇〇〇、〇〇〇円
カ 特別仮受金 一六九、二六八、七七〇円
右ワ、カは期首と同額のものである。
ヨ 前期繰越金 六三、六一三、七七九円
昭和三五年度の前期繰越金に同年度の別途利益金を加算したものである。
右により、昭和三六年度の別途利益は三三、八六九、二〇六円となる。
以上により、被告主張の「別途利益」をすべて認めることができる。
五 前記のとおり、「別途利益」を除きその余については当事者間に争いがないところ、右「別途利益」が被告主張額のとおり認められることは右にみたとおりであるので、原告の所得金額は、別表(二)ないし(四)記載のとおり、昭和三四年度分六二、七八七、三一二円、昭和三五年度分二二、六九九、九二六円および昭和三六年度分三二、三〇八、二二三円となり、いずれも本件課税処分における所得金額と同額である。従つて、被告のなした所得金額の算定に原告主張の瑕疵は存しないものであり、本件各更正処分に違法の点はない。そして、原告の申告額については当事者間に争いがなく、また原告は正当な所得金額の一部を隠ぺいし仮装して法人税の納税申告書を提出したものであることは前認定のとおりであるから、被告のなした過少申告加算税および重加算税の各賦課決定処分にも違法はない。
六 以上の次第で、原告の本訴請求はいずれも理由がないから失当として棄却することとし、訴訟費用の負担については民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 山田義光 裁判官 窪田季夫 裁判官 辻川昭)
別表(一)
課税処分表
<省略>
昭和三四年度分
<省略>
昭和三五年度分
<省略>
昭和三六年度分
<省略>
別表(二)
所得金額表(昭和三四年度分)
<省略>
<省略>
<省略>
別表(三)
所得金額表(昭和三五年度分)
<省略>
<省略>
〔右より減算したもの〕
<省略>
<省略>
別表(四)
課税処分表(昭和三六年分)
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
別表(五)
指定金銭信託、定期預金等の内訳表
一 昭和三四年度分
一の1のイ 指定金銭信託(期首)一一〇、六七六、二六九円
東海銀行信託部
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十六銀行信託部
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一の1のロ 定期預金(期首) 五九、二三八、五八四円
協和銀行一宮支店
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<省略>
東海銀行一宮支店
<省略>
十六銀行一宮支店
<省略>
大和銀行一宮支店
<省略>
一の1のト 普通預金(期首) 二、三五九、九六九円
一の2のロ 指定金銭信託(期末) 一八三、九八六、七六二円
東海銀行信託部
<省略>
<省略>
<省略>
十六銀行信託部
<省略>
<省略>
<省略>
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<省略>
<省略>
<省略>
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<省略>
<省略>
一の2のハ 定期預金(期末) 七七、九三四、六二〇円
協和銀行一宮支店
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
東海銀行一宮支店
<省略>
<省略>
十六銀行一宮支店
<省略>
<省略>
大和銀行一宮支店
<省略>
<省略>
協和銀行今池支店
<省略>
一の2のリ 普通預金(期末) 一、三〇一、七四九円
二 昭和三五年度分
二の2のロ 指定金銭信託(期末) 二〇〇、六六三、五九一円
東海銀行信託部
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
十六銀行信託部
<省略>
<省略>
二の2のハ 定期預金(期末) 八三、五〇七、〇七八円
協和銀行一宮支店
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
東海銀行一宮支店
<省略>
<省略>
十六銀行一宮支店
<省略>
<省略>
協和銀行今池支店
<省略>
住友銀行名古屋支店
<省略>
二の2のニ 普通預金(期末) 一三、〇一〇円
二の2のホ 通知預金(期末) 六〇〇、〇〇〇円
東海銀行一宮支店
<省略>
三 昭和三六年度分
三の2のロ 指定金銭信託(期末) 二一三、六九四、〇五五円
東海銀行信託部
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
三の2のハ 定期預金(期末) 一一五、七一三、八二八円
協和銀行一宮支店
<省略>
<省略>
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東海銀行一宮支店
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
十六銀行一宮支店
<省略>
<省略>
協和銀行今池支店
<省略>
住友銀行名古屋支店
<省略>
三の2のニ 普通預金(期末) 二九〇、六〇六円
別表(六)
製品売上除外表
<省略>
<省略>
別表(七)
輸出売上計上除外表
<省略>
<省略>
別表(八)
架空仕入関係表
1 仕入原毛架空計上
昭和三四年度
<省略>
<省略>
昭和三五年度
<省略>
2 仕入染料架空計上
<省略>
3 仕入製品過大計上
<省略>
<省略>
別表(九)
本件預金類の預入表
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
別表(十)
同業者の年度別業績表
A製造者
<省略>
<省略>
B製造者
<省略>
<省略>
C卸商
<省略>
<省略>
D卸商
<省略>
<省略>
別表(十一)
原告の年度別業績表
原告
<省略>
<省略>
別表(十二)
同族関係者の個人収入表
村橋邦太郎(本人)
<省略>
村橋富士雄(長男)
<省略>
村橋真一郎(次男)
<省略>
村橋広三郎(三男)
<省略>
村橋実(四男)
<省略>
村橋すわ(妻)
<省略>
<省略>